こんにちは。きんかぶるーむです。
2023年3月のIPO案件で、カバー(COVER)というVtuber関連会社が、
3/27(月)に東証グロース市場に上場します。
2022年に同様のVtuber関連会社である、ANYCOLOR(銘柄コード:5032)が東証グロース市場に上場しており、
比較対象として挙げられそうです。
ANYCOLORは2023年3月に東証プライム市場への市場変更を申請しており、人気化と市場からの期待の高さもうかがえますね。
2023年3月は他にも多数銘柄のIPOが予定されていますが、
珍しい業態なので、IPO銘柄として注目されることが予想されます。
【企業名】カバー(証券コード:5253)
カバーの初値は1750円となり、公開価格である750円を1000円上回る結果に。
上昇率は133%と大きく上昇しました。
上場後は伸び悩んでいますが、ANYCOLORと同じく人気銘柄であることは間違いなさそうです。
早速どのような企業なのか調査し、同業他社との違いなどを明らかにしていきます。
カバー総合評価
総合評価:4.33/5点
- 成長性:5点
- グロース銘柄として売上高、営業利益ともに相応しい伸び率
- 独自事業性:4点
- Vtuber事業はANYCOLORと並んでほぼ独自事業
- 初値期待値:4点
- 公募価格+133%
このブログではIPO銘柄を成長性、独自事業性、初値期待値の3つの観点から評価し、総合評価としています。
(あくまで管理人の独自基準ですので参考程度でご覧ください)
会社概要
会社沿革
年月 | 概要 |
2016年6月 | カバー株式会社設立 |
2017年2月 | VR卓球ゲーム Ping Pong Leagueリリース |
2017年9月 | Vtuberアイドル ときのそら活動開始 |
2018年6月 | 女性Vtuberグループ hololive立ち上げ |
2019年5月 | 男性VtuberグループHOLOSTARS立ち上げ |
2020年4月 | インドネシアで女性Vtuberグループ hololive Indonesia立ち上げ |
2020年9月 | 英語圏で女性Vtuberグループ hololive English活動開始 |
2021年2月 | ホロライブ・オルタナティブ始動 |
2021年9月 | 公式オンラインショップ hololive production OFFICIAL SHOP運用開始 |
2022年6月 | 英語圏で男性Vtuberグループ HOLOSTARS English活動開始 |
2022年11月 | メタバースサービス ホロアースのβ版リリース |
2016年6月創業なので、ちょうどYoutubeが世に出始め、Youtuberが多数生まれた時期と被っていますね。
小学生のなりたい職業ランキングにもYoutuberが表れてきた時期でしょうか。
カバーはVR卓球ゲームが起点となっており、VR技術を生かしてVtuber事業に手を広げているように考えられます。
Vtuber事業は、日本のみならずインドネシアをはじめ、英語圏など海外展開も積極的に実施していることが会社沿革から読み取れます。
AKBなどのアイドルグループでも見られている通り、アジア圏からの展開は受け入れられやすいのでしょうか。
また、直近の2022年11月には話題のメタバース業界にも参画していることがわかります。
Vtuber事業の次の芽も育て始めているといった段階と見受けられますね。
カバーの事業内容
カバーでは、VTuber事業をメインに、その他付帯事業を実施しています。
- 配信/コンテンツサービス
- ライブ/イベントサービス
- Vtuberグッズ販売サービス
- IPライセンスアウト/タイアップサービス
基本的には、所属Vtuberが配信を行い、人気化すると集客できるようになるので、
ライブチケットの販売やファンに向けてのグッズ販売、IPライセンス販売で収益を上げる仕組みになっています。
所属Vtuberの数とそのチャンネル登録者数が、そのまま売上高に直結する内容となりますね。
2022年12月時点で、カバーのホロライブプロダクション所属Vtuber数は71名であり、
うち日本が48名、インドネシアが9名、英語圏が14名の内訳となっています。
71名中31名がYoutubeチャンネル登録者数100万人以上を記録しており、
ある程度の支持を得たクリエイターが所属しているといえます。
カバーの業績推移
カバーの直近3期の業績推移は以下の通りです。
チャンネル登録者数の増加と比例して、売上高も大きく増加しています。
利益の面では、2021年3月期から2022年3月期で伸びているようには見えませんが、
これは人件費の増加による影響が大きいと考えられます。
従業員数は2020年3月期から2022年3月期にかけて、
69人から303人まで約4.4倍に増えており、
Vtuberの数や売り上げ規模に応じて人材が必要になっていると推測されます。
2022年3月期 | ||
セグメント | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
配信/コンテンツ | 5250 | 199.3 |
ライブ/イベント | 2204 | 270.5 |
マーチャンダイジング(グッズ販売) | 4832 | 161.6 |
ライセンス/タイアップ | 1378 | 321.5 |
合計 | 13664 | 238.7 |
2022年3月期のセグメント別の売上高は上表の通りとなっており、
配信/コンテンツ、グッズ販売の割合が大きくなっています。
一方でライブ/イベント、ライセンス/タイアップの前期比の伸び率はそれぞれ2.7倍、3.2倍と急激に増加していますので、
配信/コンテンツによる集客拡大の影響が2023年3月期以降も寄与していくことが考えられます。
管理人がVtuberをはじめて体験したのは、スマホゲーム パワプロアプリ(KONAMI)で2021年に実施された「にじさんじ」コラボでした。
にじさんじはANYCOLOR所属のVtuberで、パワプロアプリはスマホゲームでよくやっているのですが、
正直、当時はVtuberの存在を全く知らなかったので、まったく興味のないコラボイベントでした。
実際ににじさんじコラボからパワプロアプリに流入できた数はわかりませんが、このようなタイアップ案件を通して、
DL数や来客数、売上数を増やし、Win-winな関係を構築できれば良いですね。
また、IPOでの調達資金は、配信用機材への設備資金とIPのコマース展開促進のための運転資金に充当されるようです。
Vtuberの増加に伴い、新スタジオへの設備投資と物販展開拡大に向けて資金が必要な状況が読み取れます。
カバー(Vtuber)の関連銘柄
最後にVtuberの関連銘柄について、以下リストで示します。
企業コード | 企業名 | 主要事業や関連サービス |
3632 | グリー | ゲーム開発&運営会社。メタバース関連にも参入(バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」、構築プラットフォーム「REALITY XR cloud」の運営)。 |
3661 | エムアップHD | アーティスト,タレント,キャラクター関連のコンテンツ提供、動画配信サービス、VRライブ配信、ファンクラブサイト運営、物販に加え、電子チケット販売/トレードの2セグメント。生配信視聴アプリ「FanStream」を運営。 |
3990 | UUUM | Youtuber管理会社。Youtuberを中心としたサポート業務を実施。アドセンス収益や企業PRの広告収益が主。インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「LMND」を運営。 |
4334 | ユークス | ゲームソフト開発が主。ライブエンターテイメントAR Live System「AliS ZERO」を運営。 |
5031 | モイ | ライブ配信ソフトサービス。ライブ配信コミュニケーションプラットフォーム事業「ツイキャス」を運営。ゲーム実況に特化した「ツイキャスゲームズ」も。 |
5032 | ANYCOLOR | Vtuberビジネス会社。VTuber グループ「にじさんじ」を運営。「にじさんじ」は約150名が所属。ライブストリーミング、コマース、イベント、プロモーションで展開。海外VTuber事業として英語圏・中国に進出。 |
5240 | mono AI technology | メタバース支援サービス。仮想空間共有技術のメタバース・プラットフォーム「XR CLOUD」を基盤に運営。 |
2023年3月時点では、Vtuber事業及び、メタバース事業に参入表明している上場企業はまだまだ少ないといえます。
UUUMはYoutube最盛期に上場した銘柄ですが、収益の柱がアドセンス収入や企業PR動画の広告費とのことですので、
ANYCOLORやカバーのように独自のキャラクターIPによる物販収益、利益貢献が見込みにくいという違いがあります。
同業他社としては、冒頭でも述べたANYCOLORが存在し、Vtuber事業で人口大国である中国への進出をすでに実施しているという点がカバーと異なりますね。
カバーの特徴としては、メタバース市場にも2022年から乗り出している点があります。
2024年内にメタバースサービスの一般公開を目指して先行投資を行っているため、
メタバース市場が本格的に機能し始めた時に、さらに売上高を伸ばす可能性を秘めていますね。
まとめ
今回はIPO銘柄カバーについて調査してみました。
- Vtuber事業を展開し、登録者数が売上と利益に直結する。
- 成長のカギはメタバース市場での優位性
- 競合他社はANYCOLORが挙げられるが、現状はほぼANYCOLORとカバーの独占市場である。
2023年IPO銘柄の企業分析はIPOカテゴリーでまとめていますので、ぜひご覧ください。
それではまた。
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