こんにちは。きんかぶるーむです。
2023年7月のIPO案件で、AI関連会社が7/31(月)に東証マザーズ市場に上場しました。
【企業名】Laboro.AI(ラボロエーアイ、証券コード:5586)
初値は1195円となり、公開価格の580円を106%上回りました。
AI関連サービスの期待値の高さが伺えます。
2023年7月は他にも多数銘柄がIPOで上場を果たしています。
☆他の銘柄分析はこちらのIPOリストからご確認ください。
早速どのような企業なのか調査し、Laboro.AIの特徴を確認していきます。
総合評価
総合評価:4/5点
- 成長性:4点
- 売上高成長率高い
- 独自事業性:3点
- サービスとしての独自性は低い
- 初値期待値:5点
- 公募価格+106%
*このブログではIPO銘柄を成長性、独自事業性、初値期待値の3つの観点から評価し、総合評価としています。
*あくまで管理人の独自基準ですので参考程度でご覧ください。
Laboro.AIの会社概要
会社沿革
年月 | 概要 |
2016年4月 | 人工知能技術を用いたソリューション開発、人工知能の活用に関するコンサルティングを目的として東京都文京区に株式会社Laboro.AI(資本金1,000千円)を設立 『カスタムAI』サービス開始。『ソリューションデザイン』の手法体系整備開始。 |
2017年9月 | 『マッチングソリューション』リリース |
2018年1月 | 『文章分類・タグ付けソリューション』リリース |
2018年4月 | 沖電気工業株式会社と感情推定技術の共同研究 |
2019年2月 | パーソルテクノロジースタッフ株式会社へ『マッチングソリューション』を用いたカスタムAIを提供 |
2019年8月 | 株式会社日本総合研究所へ『文章分類・タグ付けソリューション』を用いたカスタムAIを提供 |
2019年12月 | 株式会社大林組へ深層強化学習を用いたカスタムAIの提供により振動制御システムを開発 『強化学習による振動制御ソリューション』、『不良・異常検出ソリューション』リリース |
2020年4月 | オリジナル日本語版BERTモデル『Laboro.AI日本語版BERTモデル(LaboroBERT)』公開 |
2020年11月 | 非破壊検査株式会社へ『不良・異常検出ソリューション』を用いたカスタムAIを提供日本語音声コーパス『LaboroTVSpeech』公開 |
2020年12月 | オリジナル日本語版BERTモデル『Laboro DistilBERT』公開 |
2021年1月 | Rustベースの深層強化学習フレームワーク『Border』を開発開始 |
2021年3月 | カスタムAI提供により開発されたウェブサービス「勝ち飯®AI」β版を味の素株式会社がリリース |
2021年4月 | 公益性の高いテーマに対してカスタムAIを無償提供するプロボノ活動開始 |
2021年7月 | 株式会社SCREENアドバンストシステムソリューションズと幅広いAI関連プロジェクトを共同実施する内容の資本業務提携 |
2021年8月 | プロボノ活動(社会貢献活動として無償でプロジェクトを行う取組)として山口県 指定無形文化財「鷺流狂言」の伝承・普及へカスタムAIを提供 |
2021年12月 | 『強化学習による組合せ最適化ソリューション』リリース |
2022年6月 | 株式会社博報堂と幅広いAI関連プロジェクトを共同実施する内容の資本業務提携 |
2022年7月 | カスタムAI搭載カメラソリューション『L-Vision』リリース THK株式会社と資本提携 |
2022年9月 | 三井化学株式会社(出資主体はMCIイノベーション投資事業有限責任組合)、株式会社ゼンリン(出資主体はZFP第1号投資事業有限責任組合)、日本ガイシ株式会社、株式会社SCREENホールディングスとの資本提携 |
2023年3月 | 『ビジネス潜在ニーズ探索ソリューション』リリース |
2016年に創立され、7年のうちサービスを拡充させて、事業拡大してきたようです。
沿革を見る限りはディープラーニング系のAIサービスが主流であるように考えられます。
2022年以降では、博報堂や三井化学、ゼンリン、日本ガイシ、SCREENなど大企業との資本業務提携も活発に行っています。
Laboro.AIの事業内容
「すべての産業の新たな姿をつくる。」「テクノロジーとビジネスを、つなぐ。」をミッションに掲げ、AIサービスの提供を事業としています。
顧客企業固有の成長戦略や事業課題に合わせたオーダーメイドのAI開発(カスタムAI開発)、
新規製品・サービス創出やビジネスモデル変革等のビジネスの新しい施策展開に関連するAIサービス(ソリューション)を提供しています。
導入範囲は幅広く、設備診断などに使用される、不良・異常検出、安全管理・監視業務、振動制御や物体カウントなどサービスがあります。
Laboro.AIの特徴、優位性としては優秀な専門人材と先例のないテーマ取り組みで、ノウハウを積み上げていくことにあるようです。
先例のないテーマで成功事例を創出し、成功事例を基に事業連動させて強固な顧客基盤を形成することで、さらに優秀な人材の育成、採用が加速されるサイクルを構築しています。
人材流出が激しい業界と考えられますので、採用だけでなく、企業魅力向上による人の引き留めも事業拡大でのキモになりそうですね。
有価証券報告書によると、2023年5月31日時点での平均勤続年数は1.6年のようですので人材リソースには苦慮している様子です。
また、顧客ポートフォリオとしては特定の業界や産業に依存しない、多様性に富んだバランスの良いものとなっていることが強みになっています。
半導体や建設、化学に加え、人材や交通輸送業界、メディア関連など幅広いです。
サービスのそれぞれの業界への導入実績から、手を広げて行ける可能性を秘めていますね。
将来性としては、生成AIなどの要素技術がありますので大きいと考えられますが、AI業界の中での特徴的な優位性を持ち合わせているわけではないと考えられますので、期待値としては高くないと思います。
Laboro.AIの業績推移
2019年9月期から2022年9月期の業績
2019年9月期から2022年9月期の業績推移は以下の通りです。
売上高は増加傾向にありますが、経常利益は2022年9月期に赤字になっています。
赤字理由としては、先行投資としての採用費用、人員増加に伴う人件費、オフィス増床費用及び資本業務提携に伴うファイナンシャルアドバイザーへの支払報酬が挙げられており、ネガティブな理由ではないですね。
大企業との業務提携によって事業全体の押し上げにつながっているため、上位取引先の売上規模が大きくなる傾向にあり、2022年9月期における売上比率は、上位取引先3社で全体の49.8%を占めています。
直近はビッグデータを利用した事業会社であるダブルスタンダード(証券コード:3925)で大手との取引が終了した旨のIRがありましたが、依存度が高いと事業としてのリスクは高いといえます。
2023年9月期の業績(2023/11/10発表)
2023年9月期通期の業績発表が2023年11月10日に発表されました。
売上高は前年比+87%と大幅に増加しており、黒字化も達成しています。
採用も加速しており、23年9月期には60名体制となっています。(前期比+14名)
売上高と営業利益推移としては上記の通り4Qで鈍化していますが、人材育成への投資等が原因となっています。
2024年9月期の業績予想としては、前年比+20%を見込んでおり、売り上げの伸びとしては鈍化の見込みです。
営業利益としては13%と同水準程度での推移となりますが、今後は人材増加による固定費の増加が懸念されます。
固定費増加をいかに吸収しながら事業成長していけるかどうかが鍵ですね。
IPOでの調達資金の使途
IPOでの調達資金の使途としては、採用費、マーケティング費用、設備投資及び借入金の返済に充当する予定とのことです。
事業拡大には人材の採用、育成が欠かせない要素であると思いますので、優秀人材の獲得につながるとよいですね。
まとめ
今回はIPO銘柄Laboro.AIについて調査してみました。
- 新会社となってから日は浅いが、AIサービスの拡大で大手企業との資本業務提携を実施
- 成長のカギは人材確保
銘柄としてはAIサービスの活況とテーマ市場の強さの面から、人気化するのではないかと感じています。
上場後の値動きに注目です。
☆他にも多数のIPO銘柄の分析を実施していますのでこちらから確認ください。
☆IPOのオススメ証券口座についてはこちらで紹介していますので、ご覧ください。
それではまた。
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